第9章 𝕎𝕒𝕥𝕖𝕣 ℍ𝕪𝕒𝕔𝕚𝕟𝕥𝕙
《 ひかりside》
体育祭の緑谷くん対轟くんの二回戦
……初めて見た、左の…炎
燃え盛る真っ赤な炎は、どこか覚束なくてそれでも鮮やかで言葉では言い表せないほど美しかった。
そんな炎を魔法のよう出す彼と同じ気持ちだったらどんなに嬉しいだろうって昨日まではそんなことを考えてた。例え轟くんが似ていて違う気持ちでもそれでも傍にいられればそれでいいって、本気で思ってた
でも本当は、違ったのは私だった
啓悟くんへの気持ちを抱えたまま轟くんの元へ行くことなんてできなかった。
そもそも私は轟くんが好きなのだろうか?
彼を重ねて啓悟くんへの恋心の延長線を募らせていただけじゃないのか
疑いたくないことまで疑ってしまう
あの頃からずっと大事に締まっていた気持ちを無視することは出来ない…
それに…
゛オレは ひかりちゃんの身に何かあったら他人を犠牲にしてでも飛んでくる ゛
゛ ひかりちゃんが必要だって言ってくれるなら死んでも離れないと思うよ ゛
゛それに…今は傍にいられればそれでいいって思ってる ゛
同じくらい私を大事にしてくれたから