第8章 𝕊𝕦𝕟𝕗𝕝𝕠𝕨𝕖𝕣
薄々気付いてた
______温かくて安心する
轟くんの心は既に溶けかけていて彼は自分と向き合い始めてる
『私は…もういらない?』
私は彼を安心させる存在でそれは、恋じゃない
触れたいと思うのは、不安でしょうがない心を欺くための一時的な処置にすぎない
それは自分を通してわかったことだった
『…まだ気付かないでっ…誰にも心を上げないで………わたしだけでいいから…っ』
恋がこんな気持ちだと言うならなんてみっともないんだろう。胸が締め付けられて息もできないほど、相手が欲しくて愛情に体が震える
目元に温もりを感じ、涙で滲んだ視界越しに彼を見る
目頭から目尻までなぞられるように雫を拭き取られ、彼の大きな手は私の耳元へと添えられる
「…わりぃ、今すぐに答えは出せねぇ」
自分の呼吸が乱れそうになるのを必死に堪える、ただただ心を引き裂くような後悔の念がそこにはあった。
…困らせるってわかってたのに…轟くんの中にはまだ向き合わなきゃいけないことが残ってるって、わかってたはずなのに…
私達は押し黙って、その沈黙が痛いほど辛かった
『…ごめん、私待つって自分で言ったのに、急かすようなこと言って…ほんとダメすぎる、気にしな…』
「ずっと待ってろ」
え…轟くんの口から出たとは信じられず顔を上げるが言葉を発することは許されなかった。唇を激しく押し付けられ、電流が流れたように全身が硬直する。相手を求めるように動かす唇の動きはとても刺激的で、合わせるのに精一杯だった。
『…ンッ…とどろ…くん…なん』
「 秋月 が余りにもカワイイこと言うから」
「もっともっと…焦らしてやりてぇって思っちまった」