第7章 𝔸𝕟𝕖𝕞𝕠𝕟𝕖
いつもより早く起床して走り込みに出掛ける
戻ったあとは乱れた髪をブラッシングしてツインテールに直す
運動会の日は毎度ツインテにしていて何よりはちまきがつけやすい
今年は運動会じゃなくて…桁違いの規模の体育祭だけど…
…ちょっと早いけどいっか
駅まで行くのに心が踊ってるのがわかる
だって、轟くんと待ち合わせしてるから
昨日一緒に学校に行く約束をしていて、浮かれすぎて約束の15分前に到着する
いかにも初夏らしく澄み渡っていて体育祭日和のいい天気で
人気のない駅の自販機の前で待機する
『流石にまだ来てないよね…』
「早いんだな」
『と、轟くんっ!』
どこからともなく現れた轟くんの姿に素っ頓狂な声が漏れる
まさか先にいるなんて思わなかった…
『いつから?』
「 秋月 が来る15分前くらいだな」
鬼はやっ!!!!
それを真顔で言って見せる轟くんはやっぱり轟くんはどこか抜けてて、愛おしく思う
電車に乗り込むと車内は空いてて、二人並んで座席に座る
轟くんの肩と自分の肩が擦れあってるのにドキドキして勝手に意識してしまう
……雄英に着くまでずっとこれだと心臓もたないよ
『ね、ねぇ轟くん
轟くんがウォーキングしてて"ある物"を見つけたとするね、それは何デショー』
「??急になんだ」
『心理テスト!
Aは財布
Bは鍵
Cは四つ葉のクローバー
Dはハンカチ
どれ??』
轟くんは顎に手を当て少しの間考える素振りを見せたあと私に向き直って言う
「……ウォーキングしててどれも見つけた記憶がねぇ」
『…ふふっそうじゃなく…』
そのとき車内が大きく揺れて、体が思い切り前後に揺れる
体が前へ投げ出されて転倒しそうになったところを轟くんが腕を掴んでくれる。掴んだ手をそのまま引っ張られ彼の胸の中に飛び込む
「っぶねぇ…大丈夫か」
『ひゃっ…あ…うん、ありがと』
バッと轟くんから体を離すと、電車の隅に座ってる女の子のが目に入る
口元を押さえ俯いていて、目元しか見えないけどその表情は苦しげに歪んでいる
『あの子、具合悪いんじゃ…』
指を差しながらいうと轟くんも彼女の様子に気づいたらしく、立ち上がる