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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第7章 𝔸𝕟𝕖𝕞𝕠𝕟𝕖



すると啓悟くんの手が腰に添えられ、体がグンッと前に引き寄せられる
急激に近づいた距離に驚いていると彼のもう片方の手が私の前髪に触れる

先程とは違い大人びた空気を纏う彼
誘い込まれるような瞳に意識が奪われる


「そんなカワイイこと言われたら本気で襲っちゃうけどいい…?」

吐息と変わらいない囁きが耳内で充満する
ボンッと効果音がつきそうなくらい自分の顔が赤面したのがわかった
言葉に詰まって狼狽してると

「ハハ、オレにそんな顔しちゃっていいの?」

『し、してない!!もうさっさと帰っていいから!
そんで二度と来なくていい!』

改めて彼が大人だということを自覚させられた気がして…やっぱりモヤモヤする
ポコポコと叩いて追い出されるようにして大人しく外へ出ていく

「行く前に一つ
あのさ ひかりちゃん…今日…」

『なに?』

「やっぱなんでもない」

なんだろ?と思って表情を伺おうとすると丁度逸らされる
私も同じようにベランダに出て彼を見送る
啓悟くんは地面から離れ、あっという間に手の届かないところまで飛んでいく

「じゃーまた階段から落下しないようにねー」

『ま、また来てね!絶対だよ!』

「どっち笑」

前は届かなかった背中も今度は届いて笑顔を残していってくれた
もし…前に届いてたら…

考えても仕方のないことを振り切るように目を伏せ、視線を外す

部屋に戻ると啓悟くんの座ってた場所に剛翼が一羽置いてあった

…あれそういえば私、階段から落ちたこと言ったけ?


その日は文句なしの晴天で

心が惹きつけられてしまうような
何もかも赤く焼き付ける

神々しい夕陽が印象的だった
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