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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第7章 𝔸𝕟𝕖𝕞𝕠𝕟𝕖




啓悟くんは本心を隠すのが得意で、いつもはぐらかされてきた


でも今日彼が無心に笑うのを何度見ただろう
彼らしくない皮肉だって

感じても、自分を騙して気付かないフリしようとした


「じゃーそろそろお暇しようかな」

『…えもう帰るの!』

「当たり前でしょ、一応オレ仕事中だからね」


あっさりした口調で言うけど本当に多忙で
いつだって忙しい合間を縫って会いに来てくれたことも
ちゃんとわかってたのに…


『一応って…でもしょうがないか
啓悟くんはみんなのヒーローだもんねっ』

「みんなの、ね…
でもオレはさたった一人守れればそれでいいと思ってる」


注がれる視線を敢えて外してしまう
いまの私には重くて耐えられないと思ってしまった
私には受け取る資格などない

『あ…啓悟くん…そのっ』

立ち上がって背を向ける彼に向かって思わず声が溢れる
振り返った啓悟くんは少し屈んで私に顔を寄せてくれる

『えっと…あの、』

「大丈夫だよ、近いうちにまた会いに来るからさ」

そう言って私の頭に手を置いて、頭を撫でてくれる
彼が頭を撫でてくれれば心は安らいでいって好きだった

『それもそうなんだけど…
……もう帰っちゃうの…?』



『まだ一緒にいたい…ダメ…?』

ハッと彼が息を呑んだのがわかった
啓悟くんは思考を停止させたかのように私から視線を離さない
…なんかまずいこといったかな…?


「これだから…手放したくなかったんだよ」

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