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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第7章 𝔸𝕟𝕖𝕞𝕠𝕟𝕖



轟くんのこと知ってるってことは
…お父さんの、エンデヴァーさんのことも詳しいのかな…

『…あのさっ』

「ん、どしたの」

口を開いて留まる
ここで啓悟くんから聞き出すのはズルい気がした

『ううん、なんでもない』

「そっか」

…ちゃんと轟くんの口から聞かないと…
心が引き締まっていく気分で

このとき啓悟くんが私をじっと見つめていたなんて知らなかった


「はぁー…やっぱこうなるとかー」

『んぐっ…どうひたの?』

「いいやー言ったら ひかりちゃんが困るだろうから言えませんっ」

言い切るのと同時にベッドにもたれかかり、ふいっと顔を背けられる
胸のあたりから違和感のようなモヤモヤが込み上げてくる
…やっぱり


『…やっぱりなんか今日変だよ?
啓悟くんらしくない』

「そ?別に普段通りだよ…」

『うそ、なんか隠してる?機嫌悪いの?』

一向にこっちに顔を向けないから、音を立てず四つん這いで啓悟くんに詰め寄る

あんなに長く時間を共有したはずなのに
いま啓悟くんが何考えてるのか全然わかんない


いなくならないで…
無意識に伸ばした手は彼の頬へと指先を置く

肩を少し揺らした彼は私の手を捕まえて、ゆっくりこちらに顔を向ける


「……何してんの」

『私…啓悟くんに言わなきゃいけないことあるの』

「…ドーゾ」








『好きな人がね、出来たの…多分』

「多分って」

啓悟くんは苦笑したあと「それで?」と続きを促す
ドクンドクンと心臓が嫌な音を奏でて、彼といてこんなに気まずいことはあの病院以来だ。


『…わたし…その返事…いま言うの…』

その続きが上手く紡げない
言葉より息が漏れて、胸の中を罪悪感が埋め尽くす
苦しくて涙が出そうになる


「やっぱ返事、まだいいよ」

『………え…?』


「だって ひかりちゃんこの前の告白の返事しようとしてくれてんでしょ?」

『あ…うん…それはそう…』


゛オレ ひかりちゃんが好きだよ、親愛の意味じゃない
一人の女のコとして狂おしいほど好きなんだ ゛


゛返事、次会ったときに聞かせてよ ゛



「まだいいよ
忘れっぽい ひかりちゃんが覚えててくれただけで十分」

軽く笑って見せる彼


…あぁ私いま彼のこと






傷付けた

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