第7章 𝔸𝕟𝕖𝕞𝕠𝕟𝕖
まただ
冗談なのか本気なのか分からないような鷹の眼
「結局どこまでいっても ひかりちゃんは ひかりちゃんだからさ
不器用で、危なっかしいからほっけないわけでね」
『どういう意味』
「だからさ、一人でなんとかしよーってのは向いてないと思うんだよね
ムリだって思ったらごちゃごちゃ考えずすぐ頼れってこと
わかったー?」
このときばかりは言い返す言葉も出てこなくて素直に頷いてしまう自分がいた
取り上げられたフレンチクルーラーを再び噛ってると啓悟くんが顎に肘をつきながらさり気ない口調で尋ねてくる
「でさ焦凍くんと、爆豪(だっけ)くんどっちが本命?」
『…へ?』
「さっきから連絡来てたし爆豪くんの方?」
啓悟くんは寝れてないのか見て取れるあくびをかましたあと再度視線を寄越す
思わずドーナツが喉に詰まるところだった
『な、な、にいって、大体勝己くんとはそんなっ
…って連絡ってなに?!』
「 ひかりちゃんがさジュース取りに行ってる間に来てた」
『え、うそ…見たの?!』
自分のスマホの場所を確認する
確か帰ってからバッグと一緒にベッドに投げて…
あれない…と思ったら啓悟くんが悪い笑みでテーブルを指差すから視線を追えばそこにあった
「パスワード、まだ変えてなかったんだ」
101224
スマホのロック解除のパスワード
10歳のクリスマスイブで12/24日
私にとっては忘れられないあの日
『あぁ!トーク消去してるし!』
さっきからスマホいじってるなって思ってたけど私のスマホだったのか…
啓悟くんは今更ドーナツにありつけていて悪びれてる様子はない
『ねぇ!なんて送られてきたの?』
「さぁ?検討もつかないね」
『十分以内に返信しないととんでもないことになるんだよ?!』
「おっかないねー今どきの子は」
…なんか今日の啓悟くんおかしい…
情緒不安定なの??
むくれてると人差し指で頬をちょんとつつかれる
「じゃあ焦凍くんの方かー
まぁ知ってたけど」
『………なんで轟くんのこと知ってるの?』
「ほら、オレ結構見聞広いからさ
なんでも聞こえちゃうわけ」