第15章 もうひとりの子
真白は少女に近付き、その体を抱き締めた
「何のつもりだ?」
少女は押し返そうとするが真白は強く抱き締めて押し返されないようにした
「確かに私は死のうとした、宿儺様に出会う前の私なら体をあげていたと思う、でも私は宿儺様と関わって生きたいと思った」
「もう良い、私は永遠にこの闇の中を彷徨う……そういう運命ってやつさ」
諦めたように少女は呟いた
「あなたは頑張った、体をあげることは出来ないけどこうして話をすることは出来る」
「情をかけたつもりか?そんなものは要らない」
「そう捉えても良い、でも私はもっとあなたと関わり合いたい、唯一無二の家族だから」
「!?」
真白の言葉を聞いた少女は驚いた顔をした
「……私、存在してもいいのか?」
「勿論、家族は支え合うもの、私はあなたの力になる」
ふっと少女は軽く笑った
「なら私もお前の力になろう」
少女は真白を抱き締め返した
「ふふっ、ありがとう」
「……真白」
「何?」
「いや、呼んでみただけだ」
「そう……ところであなた名前無いの?」
「嗚呼、産まれて間もなく殺されたからな」
「名前が無いのは不便じゃない?つけても良い?」