第2章 昔々のお話
「居たぞ!!当主の娘だ!!」
運悪くも、あと一歩のところで敵に見つかった
しかも敵は一人だけではなく、ざっと数えて10人は居た
「真白様、雪花様……これを」
菊は私達に振り返り、懐から二本の短刀を出した
「これなぁに?」
雪花ちゃんが首を傾げて菊に聞いた
「これは代々美桜家が所持する“呪具”というものです、私はここまでしかお供できません、これがあれば身を守ってくれるでしょう」
菊が呪具を私達に差し出した
私達はそれを受け取った
「真っ直ぐ行けば外に出られます、さぁ」
“行きなさい”という目で菊は私達を見た
「決して……決してこの血を絶やしてはなりませんよ、貴女方は我々の希望なのですから」
「菊は行かないのぉ?」
「私はある程度片付けたら戻るつもりです、直樹もそうですよ」
「分かった!!」
私と雪花ちゃんは走った、そして無事に美桜家の屋敷から外に出た
だけどその後、菊含む女中や家臣の人達が戻ることはなかった