第39章 呪いの王の復活
戸惑っていると悟の声が聞こえてきた。
彼は伏黒の隣にいた。
「呪物は見つかりました。ですが−−」
伏黒が答えた。
「あ、ごめん俺食べちゃった」
自我を取り戻した虎杖が申し訳そうに言った。
「マジ?」
「マジ」
悟以外の3人が答えた。
「本当だ、混じってるよ、ウケる」
悟が虎杖に近づき観察するように見た。
「10秒間、宿儺に代われる?」
「え、でも……」
虎杖が心配そうに声を漏らすと。
「大丈夫。僕、最強だから……はいこれ」
悟は隣に置いた菓子の袋を伏黒に渡した。
(伏黒、『この人、土産買ってから来やがって、人が死にかけてる時に』なーんて思ってそう)
「生徒の前なんでね……かっこつけさせてもらうよ」
虎杖は宿儺に代わり、悟を襲った。
「全く……いつの時代でも厄介なものだな、呪術師は」
悟は宿儺の攻撃を避けてばかりだ。
そしてあっという間に10秒が経った。
「クソ、まただ……乗っ取れない」
「この虎杖とかいう小僧、一体何者だ……」
宿儺は虎杖に体の所有権が変わったせいか下に俯いていた。
「これで目覚めた時、宿儺に体を奪われていなかったら、彼には器の可能性がある」
「仮に器だとしても、呪術規定にのっとれば虎杖は死刑対象です」
「でも……死なせたくありません」
伏黒は淡々と述べる。
「姫和は何かある?」
「私に振る?でもまぁ、器だとしたら利用価値があるんじゃない?どうせ死刑になるとするならば全ての指を取り込んだ後に殺せばいいかと思う」
「さっすが姫和!!その案いいね〜」
その後、結果的に言うと虎杖悠仁は両面宿儺の器だと言うことが判明した。
虎杖は20本の宿儺の指を全て取り込む代わりに、それまで死刑は保留するという条件で呪術高専に転入し、呪術界に足を踏み入れることになったのだ。