第39章 呪いの王の復活
「……」
あまりにも宿儺の押す力に顔を歪め、阻止する姫和の力が限界を迎えたようで吹き飛ばされた。
「柊!!!」
伏黒の声が聞こえる。
「お前、何故力を抑えている?」
手加減されたと感じた宿儺は不愉快な表情をする。
(鋭い)
姫和には霊力と呼ばれる別の力がある。
それは呪力とは反対の力で呪力を持たない姫和にとって呪力代わりになるものだ。
生まれつき膨大な霊力を持ち、敵を欺くため姫和は霊力を抑えていた。
吹き飛ばされた姫和は壁に当たり、手から鎌を離してしまった。
のろのろと姫和は立ち上がる。
宿儺はそれを見逃さず、また拳を姫和に降りかかろうとした瞬間、何者かが宿儺の腕を掴んだ。
「そこまでにしてもらおうか宿儺」
「えんちゃん」
えんちゃんと呼ばれた人物は姫和が使っている槐獣鎌の契約した鬼の名だ。
姫和が愛称として呼んでおり、本当の名は槐。
黒髪の男で和服を着ている。
彼の頭には角があり、鬼だと言うことが分かる。
呪霊だと思われがちだが彼には呪力がなく、その代わりに霊力という呪力の反対の力を持っている妖と呼ばれる存在だ。
「ほぅ、槐か!!久しぶりだな」
どうやら宿儺は槐を知っているようだ。
姫和を殴ろうとする腕を引き、宿儺は槐と向き合った。
「挨拶はいい、とりあえず僕の主を傷つけるのはやめてほしいのだけれど−−」
槐が言葉を紡ごうとした時、別の声に遮られた。
「人の体で何してんだよ、返せ」
「(なんで動ける?) いや、俺の体だし」
どうやら宿儺と虎杖が会話をしているようだ。
「おやおや」
槐はその様子に目を見張り、ふとおかしそうに笑った後、静かに姿が消えた。
(一体何が……)
「やっ、来る気なかったんだけどさ今、どういう状況?」