第33章 桜が散るころには
「宿儺様」
後から声が聞こえる
振り返った真白は驚いた
「え、裏梅!?」
「姫様、お久しゅうございます」
ペコリと真白にお辞儀をした裏梅は空気を読んだつもりなのか“居間のほうに行っています”と言い、その場から去った
「な、なな何で裏梅がここにいるの!?」
驚きを隠せなかった真白はガバっと宿儺のほうに体を向けて聞いた
「五条家から追い出されたのを俺が拾った」
「追い出された!?え、待って……あの後五条家はどうなったの?」
「五条和真は死に、何も変わっていない」
「変わって……ない」
そんなこんなで長い眠りから覚めた真白は宿儺と裏梅と一緒に生活をするようになったのだ
その数年後、京の都で悪逆無道を繰り広げられた宿儺は後にこう呼ばれるようになった
“呪いの王”と
宿儺の悪逆無道さを呪術師や陰陽師は無視出来なく、祓うなり殺すなり多くの人達を送り込んできたが宿儺や真白でその人達を殺した
幸せとは程遠い生活だがそんな生活も終わりが近付いてきた
幾年の年月が経ち、春を迎えたある日、真白にとって最も恐れていた事態が起きる