第33章 桜が散るころには
「……これからどうするの宿儺様?多分特級呪霊よ、呪術師が黙っちゃいられないわ」
心配そうに真白は宿儺を見つめる
宿儺は抱いていた腕を解き真白の横に立つ
「殺しに来る者は殺す、それだけだ」
「あら?宿儺様は呪霊よ、呪術師であり陰陽師でもある私に守られるって選択肢は無いのね」
「霊力も何も無いのにか?」
「ぐッ、確かにそうね……でも私だって滝夜叉があるし戦力にもなるわ」
図星を疲れた真白は言い返そうと早口気味に宿儺に言った
「私のせいで……私が呪霊を祓い損ねたせいで宿儺様は呪霊になったし責任は私にあるわ、宿儺様がどんなことをしようとも私は側にいるわ……言っておくけど離れるつもりはこれっぽっちもないわ」
「まぁお前のせいで呪霊になったがこの体も悪くないな、お前は俺と離れるつもりはないと言ったが俺は例えお前が俺から離れたとしても引き戻してやる」
(拒否権が無いのね……)
「珍しいわね、宿儺様が私に愛の言葉を囁くだなんて」
からかい気味に真白は宿儺に言った
「来年もその次の年もここで私に愛の言葉を言ってほしいものね」
桜を愛おしげに真白は見つめながら言った
「面倒くさい」
「面倒くさくても私からの命令よ」
「……覚えていたら言ってやる」
(この桜はもうすぐ散ってしまうわ、でも来年はこの桜が散るころに言っているのかしら?)
真白は想像を膨らませ、自分と宿儺がこの場所にいるのを想像する