第33章 桜が散るころには
“真白、俺は……”
暗闇の中、悲しそうな声が聞こえる
その声は真白が大好きな人の声だ
(何で……何でそんな悲しい声をしているの?)
すると辺りが急に光に包まれた
「!?」
視界に写ったのは見慣れた天井
どうやら真白は眠っていたようだ
(あれから一体……)
体を起こすと中庭が見える
その景色は春のようで桜の花びらがひらりひらりと舞っていた
(綺麗……)
立ち上がろうとするか長く寝ていたせいかふらふらとした足取りになった
真白はお構い無しに中庭へ向かった
(……ん?待てよ、宿儺様は?あの後どうなったの?)
呑気に桜を眺めていた真白は景色を見るものを中断して宿儺の安否を心配する
“バサッ”
背後から抱きしめられた感覚をする
振り返ってみると……
「宿儺様!?」
「この俺を無視するとはいい度胸だな」
そこには宿儺の姿があった
人間だった頃と違って腕四本に顔2つの姿だ
「えーと、宿儺様……無事で何よりだわ」
「これが無事に見えるのならお前の目は飾りだな」
「でも命だけあるのならそれでいいわ、例え姿が変わっても私は宿儺様が大好きよ」
ふんわりと真白は宿儺に微笑む