第32章 真白の全力
「ほぅ、そんなものでいいのか」
「それで……いい」
(私の想いは宿儺様だけを想っている)
真白はよろよろと宿儺に近付き、抱きしめて深い口づけをする
「ん……」
真白は思わず息を漏らした
宿儺の体を抱きしめていた腕を強くする
「でもまだ死ねないわ、ごめんなさい」
(宿儺様を助けたい、救いたい、それだけでいい……もしも私に呪力があるのだとすれば……応えてよ!!)
真白の心の中の叫びに応えるかのように真白の周りには黒いオーラが纏まる
「!?」
宿儺は驚いた表情をしている
(私がどうなってもいい……宿儺様の中にある呪力をありったけ体に取り込むんで……ただ、もう一度一緒に暮らしたい!!)
真白に纏わりついたものはまるで真白の中に入っていくかのように消えていく
“ドクン”
入って来た瞬間、体が熱くなってきた
纏わりついたものに何をされたのか分からないが平然と立っていた宿儺は倒れ、やがて真白も身を任せるかのように意識を手放した