第32章 真白の全力
「危機的な状況だな、霊力を失いし好いた男も守れねぇ……どう足掻く?」
「……」
目を開けると真白の視界に飛び込んできたのは大きな桜の木だ
目の前には真桜がいる
どうやら真桜の領域のようだ
「……抗うも何も私は死んだわ、短刀を深々と刺されたし」
「死んでない、ここは生と死の間なんだ、要は私が真白を現世に送り出すことも出来る」
「そこは死なせてよ」
全てを諦めたかのように真白は言った
「馬鹿かお前、ここで死んでみろ……現世に残された宿儺は呪いとなり数々の殺戮を繰り返すだろうよ、お前はそれを軽くしてやる気持ちはないのか?」
(確かに……私は宿儺様を止めないといけない……)
「止める方法がないと話にならないわ」
「……あるに決まってるだろそんなもん」
当然のように真桜が言う
「え、具体的にはどんな方法?」
前になりになった真白は真桜に聞く
「あの男は多くの呪霊を取り込まれて暴走している、人間の器で自我を保てる呪力の量には限りがある……要は全てか、半分の呪力をお前が取り込めばいいって話」
真白は真桜の言葉を聞いて考えた
(呪力を取り込む……今の私に出来ることね、もしも宿儺様の……暴走を止めることが出来るのであれば私は__)
「それをやったら今までの暮らしには戻れない……だけどそれでも暮らしたい……宿儺様と一緒に」
「そうだな、やるか?」
「やるよ、私は……宿儺様を助けたい」
真白の目に生気が宿る
「その意気だ、お前自身が宿儺をどうしたいか想いを込めればきっと出来る……呪力をやるやってこい」
「えぇ……そんな軽い気持ちで」
「安心しろ、私は真白がどんな人なのか知ってる絶対に出来る」
真桜に背中を押された 振り返ろうとするが辺りが桜の木の花びらで視界を覆い尽くされた」