第32章 真白の全力
「ッ……」
真白は状況を把握するのにそう長くの時間はかからなかった
後から刺されており、後ろには宿儺がいる
(あ、り、えない)
短刀は引き抜かれ、“カラン”と落ちる音がする
真白は崩れ落ち、和真も崩れ落ちた
どうやらまとめてふたり共刺したようだ
「な、んで……」
振り返ると不気味に笑った宿儺の姿があったがいつもとは様子が違う
顔がふたつに腕が四本あるのだ
「ケヒッ」
(あれは宿儺様じゃない……宿儺様の形をした別の“何か”よ)
「す、くな……様」
(お願いだから戻って……)
真白は出血した量が多いせいか意識を手放した