第32章 真白の全力
「……」
真白は目を開ける
視線の先には宿儺が屋敷の外に出ていこうと歩いていたところだ
「ま、って」
真白は声を出す
その声は宿儺に届いたようで真白がいる方向に宿儺は振り返った
「何だ小娘」
(私が好きな……宿儺様じゃない……私との記憶がないのね)
真白は宿儺の変わり様に悲しんだが今は悲しんでいる暇はない
宿儺は真白に近付いてきた
それは真白が好きだった筈の宿儺の仕草ではなく殺気が含まれていた
(嗚呼……私、この人に殺されるのね……それなら……)
真白の頭の中でひとつの願いが浮かんだ
それは淡い願い、最後に“それ”をされたら苦しいだろう
だが真白は自分が殺されるのなら例え苦しくても悲しくてもその願いを宿儺に叶えてもらいたかった
「あなたは……私を殺すでしょう?それならたったひとつだけ……私の願いを叶えてくれたら殺されても……いい」
その言葉を聞いた宿儺は面白そうににやりとする
「いいだろう、言ってみろ」
真白は口を開く