第32章 真白の全力
「お前を迎えに来たんだ……そしてその男を消しにも来た」
和真の視線は宿儺に向かった
「この女は俺のものだ、お前のものではない」
きっぱりと宿儺は言う
和真はキリッと宿儺を睨んだ
「そう言っていられるのも今の内だ、お前__宿儺には死んでもらう」
和真はそう言うと黒い球体を懐から取り出し上に掲げる
するとそこから複数の呪霊が出てきた
(呪物ね……)
「真白、お前は呪霊を相手にしろ、俺はあの男を殺す」
「宿儺様……あの人は一応私の父親よ、私が殺すわ」
(昔の私なら躊躇していたけど今なら殺せる)
「お前を五条家から連れ去ったのは俺だ、俺が殺す」
「……分かったわ、あの人は特級呪術師よ、死なないでね……」
宿儺に押し負けた真白は渋々と頷く
「嗚呼」
宿儺はそう言うと和真との距離を詰めて戦闘を始める
真白も滝夜叉を抜いて、呪霊を祓い始めた
(私には霊力がない……使える技術に限りがあるけど絶対に祓うわ!)
“霊力と呪力を消費する……回復するには数年かの年月がかかるわ”
涼葉に言われた言葉を真白は思い出す
(霊力がなくても滝夜叉がある、祓えないわけではない……だけど私は人間よ、限界を迎える前に終わらせるわ)