第26章 女の陰陽師
(望み……ねぇ)
「今はありませんので借りでどうでしょう?」
「はは、この私に借りを作るのか……良いぞ」
あったりと帝が了承をした
話は終わり部屋を出た
真白は宮中の廊下を歩きていた
すると先からは知った顔が先から見える
(あの人は……)
相手も真白を知っているようで真白に話しかけてきた
「これはこれは真白殿、お久しぶりですな」
「道真殿……」
相手は菅原道真、つまり五条家の人物だ
五条家前当主の五条和真の親戚に当たる人で真白が五条家にいた頃に見かけていた
(あれ?なんだろう……雰囲気が違うような……)
今自分の目の前に道真は真白が知っている道真ではないような気がしてきた
真白が知っている道真は忌々しいものをみるかのように真白を見ていた、だが今の道真は愛想が良さそうに見える
同じ人物に真白は見えなかった
(変わったのかしら?この数年で)
道真との挨拶を済ませ、夜になり、真白は受けた案外を終わらせようと羅生門へと向かった
羅生門に着くと建物の陰に誰かが居た
「誰も退治しないなら俺がやってやる」
小さな声で隠れていた人物が言った
真白はバレないようにその人物の背後に行った
身なりからして男のようだ
手には退治するつもりなのか弓を持っていた
「もしかして自分で退治する気?」
「!?」
男は振り向いた
「え、真白殿!?」
建物に隠れていた男は昨日、真白の屋敷に訪れた源清雅だった
「“何で此処に?”という顔をしているわね、帝に頼まれて来ただけよ」
「帝に!?」
そんなこんなで話しているとふと気配を感じた
「静かに、何か居るわ……」
真白は清雅を黙らせ、目線を前へ向けた
その先には先程まではいなかった女が居た、鮮やかな着物を着ていたが前髪が長すぎて顔が見えない
女は普通の人間とは違って何処か危険そうな感じがした
(あれは……)
女は何かに気付いたようで辺りを見渡した
「まさか気付かれた?」
清雅はぼそりと呟いた