第23章 真白の役割
「やァお嬢さん、今宵は良い夜だね」
気付いたら少し離れたところに男が現れた
その男は先程の声の主のようだ
普通の人間とは明らかに違い、頭の上に角があった
「あなた、呪霊ね」
真白は男を見るとすぐさま呪霊と判断した
「呪霊と関わってきた君からすればそう判断するか、でも僕は呪霊ではない」
男は真白に近付いてきた
遠くからでは見えなかった男の容姿が見えてきた
それは漆黒に染まった黒髪に空のように透き通った青目をした美形と言っていいほどの顔だった
「だとしたら何?真逆人間と言い張るし訳がないでしょ?角があるし」
「そうだね、僕は鬼、人間から言われている“あやかし”という者だ」
「あやかし?呪霊とどう違うの?」
「あやかしはこの“幽世”で住んでる者、だけど人間が住む世界、“現し世”にも少しは居る感じ、呪霊とは変わらないがあやかしは呪霊が持つ呪力が無い、その代わり霊力を持っているのが特徴だね」
「ちょ、待て待て!!すっごく重要なことを言っているのは分かるけど“この幽世”って何!?その言い草だとここが私の居た世界じゃないみたいな言い方なんだけど!!」
(猛烈に嫌な予感がする)
「おや?分からないで来たのか……君の言う通り、ここは幽世じゃないよ」
「な!?」