第2章 夏休みです
「「………(ジトォ)」」
「2人とも、そんな顔をしないでやってくれ」
「悟がこの顔してるときは大体ロクなことない。あと暑苦しい。」
「それな」
ダン!と悟が何かを壁に叩きつけた
たこ焼き、チョコバナナ、金魚すくい、射的、わたあめなどなど賑やかなポップ体の文字で飾られた紙面は、夏の終わりを飾る祭りのチラシだった。
「「夏祭り?」」
「行くでしょ、お前ら」
悟はサングラスの奥の目をそれはもうキラキラさせている
「いつ?」
「今日」
「はは、急すぎ」
「あたしパス。無理暑い。」
「同じくー。人混み無理」
「悟、私は行ってあげるよ」
「薄情者どもめ」
「私は行くと言っているじゃないか」
「わかってないなぁ〜行って『あげる』なんて情けはいらねーの!こんな面白そうなイベント、なんでお前ら興味ないわけ!?」
「悟きみ…」
「もしかして」
「夏祭り、行ったことないの?」
「ないけど?」
「なんでなんでなんで、こんなん小中の時に散々通過するイベントでしょ?」
「悟は五条家のオボッチャンだからな」
「だな」
と、傑と硝子は凪いだ口調で続けた
「つまり、超絶箱入り?」
「「イエス箱入り」」
「よっしゃ乗った。硝子、行こ!」
「え」
「さすが千聡!」
「夏の思い出に悟の初体験をいただく!!」
「やっぱ殴っていい?」
「だめだよ」
「間違ってないんだろうけど世界イチいらねー笑」
「行くとなったら準備準備!みんな浴衣は?」
悟→ある
傑→ない
硝→ない
「硝子はあたしに任せて!悟は2枚持ってる?」
「あるよ(ドヤァ)」
「田中○次じゃん。任せたよ!」
「おうよ!」
傑が困惑している
「え、浴衣ってマストなの?」
「浴衣は祭りのドレスコードだろ?」
「いや違うでしょ」
「こればかりは悟に1票。夏祭り×浴衣はまごうことなきハッピーセットよ!」
たまらず硝子が苦笑い。
「ハッピーセットってそんなにいいか?」
「いいでしょ、いくつになっても気分がアガる!」
「千聡がそんなに喜んでくれるなら…悟、あまり高いものは着せないでくれよ、怖いから」
「どれも実家から来たやつだからわかんねえ」
「出たよ女誑し」
「傑…(滂沱の涙)(合掌)」