第1章 出会い
東京に出てきて1年。
無事二年生に進学し、1ヶ月が過ぎゴールデンウィークが明けた頃。
「たのむ!!!この通りだ!!!」
そう言って頭を勢いよく下げる彼の名は、熱血という言葉がよく似合うムードメーカーの山本くん。
ど田舎から東京に引っ越してきた私にできた最初のお友達だ。
見た目こそ怖いものの一年生のときから何かと席が近い私に気さくに声をかけてくれクラスに馴染めたのも山本くんのおかげと言っても過言ではなかった。
二年生になった今でも部活のバレーボールの話しをしたり、飯食おうぜ!なんて誘ってくれたりする。
そんな彼が今バレー部のマネージャーを探しているらしく必死に頼み込んでいるのだ。
仲良くなってすぐの頃に一度声をかけられたがバレーはおろかスポーツとは程遠い世界にいた私は丁寧にお断りをした。
その時は割とすんなり引き下がってくれたのだが今回はやたらと必死だ。二年生のこんな時期にいまさらとは思うが1日に何度も目が合えば両手を合わせ頭を下げられ「じゃあ、見学だけなら…」と曖昧に答えた私に目を輝かせて喜ぶものだから後に引けない感じになってしまった。
いつも長く感じる午後の古文の授業があと少しで終わってしまうのを少しだけ憂鬱になりながら、ジャージに着替えたほうがいいのかな?いやいや、見学だけだし…と心の中で1人悶々と自問自答を繰り返した。