【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第19章 最終章
ベランダに出る窓が叩かれた音に、仁美は顔を上げた。
カーテンの奥に人が居るのが分かる。
ここは10階だー。
あり得ないと分かっているのに、何故か鼓動は期待に膨らんでいた。
ドンッ!
もう一度叩く音が聞こえて、仁美はゆっくりとカーテンに手を伸ばした。
カーテンを開けて見上げた顔に、ガラス玉の様な六眼が仁美の姿を捉えていた。
やっと開かれたカーテンに顔を顰めながら、今にも泣きそうな顔で悟は仁美を見下ろしていた。
それは22回目の回帰で初めての事だった。
こんな時期に悟が会いに来た。
何故?
そんな答えをを考えるよりも、仁美は窓を開けた。
「っ…あのっ俺!っじゃなくて僕っ!」
窓が開かれてすぐに悟は部屋の中に入って来た。
その悟を見て仁美の顔にもまた眉間に皺がよる。
「あ…不審がらないで、怖くないからっ…!」
仁美の顔を見て慌てて悟が言った。
仁美は何も言わないでジッと悟を見ている。
顔を真っ赤にして、何から話せばいいか分からない様に、悟はズラズラッと自分の言葉を述べた。
「…僕もよく分からないんだけど、なんか朝起きたら急にここに来なきゃ行けないって思って…!
ああ、不審者だよね、分かる、分かってるけど……。
どうしても会いに来なくちゃいけない気がしたんだ…。」
心を突き動かした衝撃は、悟に考える暇もないほど体を動かせた。
起きた瞬間に沸き起こる衝動。
そして溢れる様に頭に入ってくるある女の子との21年の記憶。