【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第16章 異榻同夢※
仁美が目を伏せて疲れた様に首に手を置く仕草を見て、それが最近噂されている五条悟の恋人が理由だという事は分かっていた。
「……術式を解呪したなら、あなた達は付き合うのだと思っていました。」
七海の言葉に仁美はふっと笑った。
「そんな事はこの先絶対無いです。」
そう目も合わせずに言った仁美の心情を理解する事は出来なかった。
それは五条悟が彼女を呪ったからなのだろうか。
思い当たる節はあるけど、どれも仁美の表情を見ると確信が持てない。
「………今夜一杯付き合いませんか?」
安い誘いを今度は自分から発していた。
一瞬だけ自分からそんな言葉が出た事に戸惑った。
それでも目を伏せている仁美が顔を上げるのを待ってみた。
「ー七海。」
2人の背後から悟の呼ぶ声が聞こえた。
「ちょっといい?」
悪びれも無く悟は七海を呼び付ける。
チラッと仁美を見ても、こちらに目線を向ける様子は無かった。
「……はい…。」
七海は仁美の返事を聞かずに悟の元に歩いて行った。
自分に素直に向かってくる七海を見る悟の顔は笑顔だった。
(……本当に面倒くさい…。)
本当にこの男は何がしたいのだろう。
きっと自分の顔は今不快さを隠せていない。
それが悟には気付かれていても、悟もまたそこには触れない。
ただ笑顔でいつもの様に牽制してくるだけだ。
学生の時より丸くなった様に見えて、その内側は何も変わってい無さそうだ。
天上天下唯我独尊。
自他共に認めるその男のありのままの姿だった。