【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第16章 異榻同夢※
今まで自分がそばに居て、悟が他の女性に目がいった事なんてあっただろうか。
20年思い返してもそんな事一回も無かった。
はぁ…はぁ…はぁ…。
心臓がバクバクして落ち着かない。
追いかけたい衝動を我慢するのに嫌な汗をかく。
「仁美。」
直哉の声でやっと襖から目を離せた。
「見とうなかったら、しばらくうちに戻るか?」
「……何を……。」
見るの?
「…そら色々あるやろうな。」
楽しそうに直哉は帯を解いてくる。
「しんどいやろ?今楽にしたる。」
そう言って帯紐を解いていって、仁美はやっと息が吸えた。
ちゃんと肺に空気を入れたのにまだ胸が痛い。
こんな嫉妬は初めてだ。
悟は仁美がこんな気持ちにならない様にいつも気を遣ってくれていた。
ただ悟が他の女性を見ただけで、抑えきれないほどの怒りが沸いてくる。
「…直哉さん…あの人ヤダ…。」
悟が確実に好意を持つ様な綺麗な女性だ。
あんな人が悟の隣に居る所なんて見たく無い。
「…ん…今言うとこか、悟くんの前では普通に出来る様に。」
直哉は仁美の顔に触れながら言った。
ジワっと涙が流れた。
「……あの人を見ないで…。」
私の前で一瞬でも他の女の人に目を奪われないで。
流れた涙は止まらなかった。
悟の愛が無かったと分かるより、彼が他の人を好きになるかもと考えた方が胸が数倍痛かった。
「…死ななかったら…。」
回帰しなかったら……。
「私の悟なのに……っ!」
ずっとずっと私のだったのに。
ドロドロと黒い呪いが体の中から這い出てくる様だ。
死ねばー。
私が死ねば、悟も死ぬ。
そうすれば彼女から悟を離せる。