【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第15章 真実の相手③※
赤や青の朝顔の咲いた着物は仁美の華やかさによく合う。
それだけ直哉が仁美を着飾り愛ているのだろう。
先程の直哉の手つきを見てそう思った。
鈍い仁美にはこの着物の意味なんて分かっていないだろう。
よく分かる感情だった。
この手で仁美を着飾って隣に居る仁美を愛でたい。
悟ははっと笑って着物の着付けを続けた。
他の男が選んだ着物を自分で綺麗に着飾らせてその男に渡す。
狂いそうな程のその行動にそれでも手が止まらないのは。
やはり綺麗に着飾れていく仁美に目を奪われるからだ。
仁美の着付けが終わると悟は仁美から手を離した。
直哉を追い出してから一言も喋っていない。
仁美は不安そうに悟を見上げる。
ああ本当に……
これ以上綺麗にならないで…。
他の男の痕が付いている白い首筋でさえ、目に入れば愛せる。
ため息が出るほどの仁美への愛に、悟はグッと拳を握った。
「………ずっと1人で考えていたんだ…。」
「……うん…。」
悟は何を言おうとしているのだろう。
聞くのが怖かった。
「……僕は人を愛せない…。」
ハッキリと仁美の目を見て悟は言った。
ギュッと握った拳の中が汗ばんだ。
「……分かっているだろう?僕のこの感情は愛じゃ無い。
元々僕は誰も愛した事ないし………
逃げるから追う…、仁美が言った通りだよ。
……僕は20年間君を愛した事は無い。
居なくなると分かっていた仁美をムキになって追いかけていただけだ。」