【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第2章 不思議な女※
「…聞いてる?」
願っていた出会い方でも、実際悟の冷たい声を聞くと、体の芯がヒヤッとした。
仁美に向けた事の無い、目線、冷たい声。
悟が怖いと言う人の気持ちが分かった。
見慣れている悟でも、この声で声をかけられたら、仁美ですら体が固まった。
仁美は大きく息を吸って、吐いた。
大丈夫、悟がこの世で1番弱いのは仁美のこの顔だ。
「…腕が痛いんですけど、先に治療していいですか?」
仁美はギュッと悟の胸元を掴んで、見上げて言った。
「………………。」
すぐに知りたいだろうに、悟はそう仁美に言われると、仁美を抱き締める力を強めて、スタスタと歩き出した。
(あまりやって、また好きになられたら困るから、あまり目線は合わせないでおこう…。)
負傷している仁美を運ぶ為、高速移動は使えないので、悟は帳を上げて、補助監督の元に向かった。
「大丈夫ですか?」
負傷の仁美を見て、補助監督が焦った様に言っている。
「私が担ぎましょうか?」
「いいから、さっさとドア開けて。」
悟の機嫌の悪い声に、補助監督が固まる。
可哀想に、悟を労って出た言葉だろうに。
補助監督に同情している仁美を抱き抱えたまま、悟は開いたドアから後部座席に座った。
「………………。」
(何故、抱いたままなのだろうか…。)
運転席に座った補助監督も、困惑した顔でバックミラーを覗いている。
「…あの、座る位は出来ます…。」
仁美はチラッと悟を見て言った。
悟はしばらく考えていた様だが、仁美を置くと、そのまま窓の外を見た。