第2章 余命宣告
「や!久しぶりだね〜、八雲、神無。宿儺の器に逢いに来たんでしょ?丁度いいよ。」
「八雲をよろしくお願いします。」
「えっ!かんちゃん来ないの?!」
来た道を戻ろうとする神無に八雲が後ろから声をかけた。
「ビジネスホテルだから。飯買ってくる。」
そう言って手をひらひらと振ると神無は八雲が何かを言う前にすぐにいなくなってしまった。
不服そうな八雲を連れ、五条は高専内に入っていった。修行に励む宿儺の器である虎杖悠仁の元へ八雲を案内した。
「お。先生。と誰?」
先程までの不機嫌な表現とは打って変わり、好奇の目で虎杖を八雲は見つめた。
「如月八雲です!君が宿儺の器??」
整った顔が台無しになるほどの興奮っぷりだった。八雲が犬であったならしっぽがぶんぶんと振られているのだろう。
「八雲ー。近いよ?」
そういうと五条は悠仁から八雲を離した。
「悠仁にはね、特別授業って事で、八雲と闘ってもらうよ。」
「えっ?!」
「大丈夫。八雲は強いから。思い切りやっても死なないよ。ね。八雲。」
五条の問いにも虎杖から目を離さず何度も頷いた。
「あ、お願いしたいんだけどさ。」
何を思ったのか、五条を見上げると八雲は言った。しかし、五条は八雲が言おうとしている事になんとなく気が付き八雲が要件を言う前に口を開いた。
「ダメだよー。」
「まだ何も言ってないよ?!」
「宿儺と闘いたいとか言うんでしょ?ダメだよ。」
八雲は図星だったのか、眉間に皺を寄せじとりと五条を睨んだ。
「なんでっ!」
「八雲が死んじゃったら神無に合わせる顔がないよ。」
「だって先生助けてくれるでしょ?」
「どうだろね〜?八雲はここの生徒じゃないしね。」
巫山戯る五条に八雲は顔を顰めた。それでも八雲は諦めずに、五条に交渉を持ちかけた。
「1分!」
「ダメ」
「30秒!」
「ダ〜メ」
「20秒!」
「ダメ☆」
「10秒!」
「ダメッ!」
「5秒!」
「んー。まぁ、5秒ならいいかな。でも、悠仁とのが終わってからだよ。」
「分かった!虎杖君!やるぞ!」
「お、おっす!」
2人の話に置いていかれていた悠仁は急に話を振られあたふたとしていた。