第8章 命短し。
「八雲さ、ちゃんと病院行ってる?」
大きく心臓が脈打った。
そんなことまで分かるのか。六眼は…。
「呪力が揺らいでるよ。たまに消えそうになるし。」
なるほど。そんなに影響あったのね。それは知らなかった。
探りを入れる五条先生の目は目隠しで見えないけど、凄く真剣なのは伝わってきた。
私自身そんなに悪くなっているとは思ってなかったから、ちょっとびっくりだけど…。
「病院ならちゃんと行ってるよ。最近ちょっと疲れてるせいだよきっと。前よりも外出すること増えたしね。」
口を開けば勝手に嘘を並べる自分の口に驚いた。でも、五条先生は納得していなさそうでもそれ以上聞いてくることはなく、いつものおふざけモードにチェンジしてお昼ご飯の話になった。
軽やかな足取りで部屋を出る五条先生の背中を見ながら胸を撫で下ろした。
やっぱり六眼には叶わない。五条先生の前では派手に呪力を使うのは避けた方が良いか…。五条先生って言うより、東京では…。
五条先生が分かったって事は虎杖君の中の宿儺も分かったのだろうか…。いや、なんで今宿儺のことを考えたんだ…。そうじゃない。
いやでも…。宿儺にも会ってから帰ろうかな…。
「お昼食べないの?」
先に出ていった五条先生が扉からひょこっと顔だけ出してそう言った。
「食べるよ!お寿司がいい!」
そんな要求を先生にしている間も、頭から宿儺のことが離れなかった。
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お昼ご飯を食べてから、先生とは別れて私はある場所に向かった。
かんちゃんを祓った場所。
そこには何も無くて、心地いい静けさだけがある。
何事も無かったように何かの跡もなくただただ青々とした木々が風に揺られている。
「こんなにすぐかんちゃんのとこ行ったら怒る?病院行ってないのもバレてるかな?」
私は誰も居ないけど語りかけた。別にかんちゃんがそこに眠ってる訳でもない。でも、なんとなく言い訳したくなった。
「めんどくさいじゃん。病院って。良くなってる気もしなかったし。これは私の判断だから。早死しても自己責任って事で。怒らないでよね。
心配ばっかりかけてごめんね。」