第8章 命短し。
学生らしくくだらない話をした後は、皆がオフで暇なことをいい事に少しだけ高専を出て遊び歩くことにした。
「霞ちゃん私服ダサいから服買おーよ。」
「八雲ももう少し女の子らしい服着なさいよ。」
「えぇ〜?あれが1番楽だよ〜」
「私そんなにダサい??」←涙目
なんて、くだらない話をして、美味しそうなもの見つけたら食べて、面白そうなお店を見つけたら入って、色んなもの買って。
私達は呪術師で、普通の友達じゃない。だからお揃いのもの買ったりとかはしないけど、こういう思い出も作れると楽しい。
この服はあの時誰と誰と行った時のだ〜とか。この写真はあの時のだ〜とか。一つ一つが宝物みたいに心の中でキラキラしてる。
なんでそんな思い出作り今更してるんだろう。もっと前からしておけばよかったなぁ。
何かを話しながら遠ざかっていく霞ちゃんと真衣ちゃんの背中を見ながらそんな事を思った。
服やら靴やらその他もろもろが入った袋が妙に重く感じた。
着いてこない私に2人は不思議そうに振り向いた。
「置いてくわよ。八雲。」
「どうかしました?八雲」
2人に呼ばれる名前は凄く大事なものみたいに感じた。
変なの。自分でもそう思った。
もっと色んな人とお出かけしたい。遊びたい。そんな事を思った。
みんなとバーベキューしたり、ご飯食べに行ったり、スポーツとかもいいな。色んなことがしたくなった。
あんなに実感がなかった死が…すぐ隣にいるようなそんな感覚が私を襲う。
でも、不思議と怖いとかはなかった。
ただ、みんなと過ごす時間に限りがあることに言いようのない虚無感があって、急いで無理やり思い出作りをしてるみたいだった。
呪術師として死にたいっても思ったけど、やっぱり皆に知られずに慎ましく死にたいと思った。
理由?理由はね。
泣いてくれる人がいるのなら私なんかの為に涙なんか流して欲しいくないんだよね。でも、もし誰にも悲しんでもらえなかったらそれはそれで悲しいし。
私は誰にでも愛されるようないい子ちゃんでは無いからさ。