第6章 カウントダウン
先生が稽古をつけてくれたこの1ヶ月間はすごく早かった。
毎日ぶっ飛ばされて、投げ飛ばされて、蹴り入れられて。これでも手加減してもらえてると思うと先生に祓われる呪霊に同情してしまった。
上手くガード出来なかった暁には拳やら脚やらが当たった部位がその日のうちに青くなり、次の日にはグロッキーな色に染まっていた。
もちろん痛い。震える。でも、前の日に拳や蹴りが当たった部位には攻撃してこなかったのでなんとかなった。
そして気がついた。
なんで硝子さんのとこに行かなかったんだろう。
残り半月になってやっと硝子さんのところに行った。
私の体の痣を見て
「まじでクズだな。」
と漏らした。
いいえ硝子さんこれは私が放置したために増えて変色してこうなってるんです。五条先生は悪くありません。でも、硝子さんのところに行くように言ってくれなかったのがムカつくので擁護はしません。
「あれ?硝子のところ行ったんだー」
「え?」
「なんか、変なプライドで行ってないと思ってたから言わなかったんだよね〜。忘れてただけか。」
五条先生は笑っていた。
この時ほどムカついたの時は無いくらいムカついた。
なんだかんだで残り1日。
「はい。終わり!お疲れ様。八雲」
後は明日。宿儺と闘うだけ…。
でも、その前に。私にはやらなきゃいけないことがある。
「覚悟は出来た?」
かんちゃんを祓わないといけない。
「うん。」
実際は全然覚悟なんか出来てない。でもやらなきゃいけないから。
かんちゃんの所に行くために先生と別れて校舎を出た。でもやっぱり勇気が出なくて、怖気付いて、ふと見つけたベンチに腰掛けた。
「あれ?八雲さ〜ん!」
「ん?あぁ。虎杖君。」
手を振りながら虎杖君が走ってきた。
「…なんかあった?」
「んん?」
そんなに酷い顔してるかな。私。
「あ、間違ってたらごめん。でも、なんか元気ねぇじゃん。」
「あぁ。成程。なんかあったというか、これからあるというか。」
「え、なに?予言?」
虎杖君の言葉に私は吹き出してしまった。