第4章 八雲のトリガー
詰め寄ってきた歌姫先生に誤っていると、五条先生の低くてドスの聞いた声が部屋に響いた。背筋が凍る。歌姫先生も驚いているようだった。
「歌姫。ちょっと席外してくれる?」
「わ、分かったわよ。」
そういうと、すぐに部屋を出ていってしまった。
「八雲、座って。」
五条先生の目の前の椅子を指さされた。言われるがまま椅子に座った。部屋の緊張感に背筋を冷や汗が流れた。
「八雲さ自分でも分かってるよね。なんでここに呼ばれたか。」
目隠しのせいでどんな表情をしているか全く分からなかったが、声に は怒気をはらんでいた。
「呪具が壊れる程、冷静じゃなくなった。壊れた後も呪霊に攻撃し続けた。」
「そうだね。あとは、よく観察せずに行動に移したこと。神無死んでないでしょ。」
「う''っ…。すいません…。」
「でも、これで分かったね。八雲の呪力が急激に上がるのは闘いが楽しい時だけじゃない。八雲にとっての大事な人の死を感じた時。それが八雲のトリガー。上手く使えば八雲はもっと強くなれる。」
さっきまでの声とは変わり、五条先生の声はいつもの明るくてはっちゃけた感じの声色に戻った。
「八雲。君は君が思っている以上に強いんだから。力の使い方を間違えると仲間を傷付けて仕舞いかねないからね。現に葵と悠仁は八雲に殺されるかと思ったってくらいだからね。」
ニヤニヤと笑いながら、とんでもないことをカミングアウトしてくる五条先生を睨む。
「東堂は良いけど、虎杖君はやだな。あんなにいい子に嫌われたら生きてけない。」
「悠仁はそんなにすぐに人を嫌いになったりしないよ。さ、もう戻っていいよ。皆、急に気を失った八雲を心配してるからね。」
先生の部屋を出て皆の所へ戻ろうと歩き始めた時、五条先生が部屋から出てきて私を呼び止めた。
「八雲!呪具粉々で跡形もないよって神無に言っておいたから〜。」
バタンッと扉が閉まる。
私は1人廊下で頭を抱えた。