第4章 八雲のトリガー
すぐに立ち上がり、呪霊に向かって走り出した。まだ、頭が再生しきらない呪霊を相手に、拳を握りしめ振りかざした時、八雲の目に映る景色が2重になり、次の瞬間には地面が目の前にあった。
ぼやけていく八雲の目が最後に捉えたのは上がっていく帳だった。
帳を上げた五条は倒れた八雲と、荒々しい八雲の残穢に苦笑いを零した。
八雲が暴走したのは、地上の様子から明らかだった。五条は八雲の回収を急ぐべく、呪詛師と闘う楽巌寺学長の元へ移動した。
トリガーによって爆発的に上がった八雲の呪力を感じ八雲の可能性に気がついた。
もちろんそれに気がついたのは五条だけでは無い。1番傍で見ていた虎杖の中にいるものにも虎杖を通して伝わっていた。
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「ク、クククッ…ケヒッ」
呪いの王は虎杖の中でほくそ笑んだ。
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[Yakumo side]
目を覚ますと、真衣ちゃんと霞ちゃんと桃ちゃんが心配そうに私を覗き込んでいた。
「暴走したんだって?ったく、1番やる気なかったくせに関係ないとこで大怪我して。何考えてんのよ。」
「え、へへ…へ。面目ない。」
目を逸らす真衣ちゃんは心無しか泣いているように見えた。
「八雲、肋骨2本と左腕骨折って言ってたよ。大丈夫?」
霞ちゃんに関しては完璧に泣いていた。桃ちゃんも目に涙を浮かべてひたすら手を握ってきた。
「大体、東堂が暫くあんたに会いたくないって言う程あんた何やらかしたのよ。」
私はポリポリと頭をかき、何も覚えてないと答えると、盛大にため息をつかれた。
「そういえば、目が覚めて大丈夫そうなら五条悟のとこに行けって言ってたよ。骨折は家入さん治してくれたって。」
うわぁ…。ドヤされそう…。でも、後から元気なのに行かなかったってバレるよりはマシかな。
「じゃあ、行ってくるね…。」
ベッドから降り、五条先生の元へと向かった。
五条先生の部屋に入ると、眉間に皺を寄せた歌姫先生と不気味な笑顔を浮かべた五条先生がいた。
どちらともお怒りの模様だ。
「あんたねぇ!死んだかと思ったでしょ!無茶しないでよ!」
「ご、ごめんって歌姫先生!つい力んじゃって…」
「あれ、力んだってレベルじゃないでしょ。」