第4章 八雲のトリガー
部屋に帰る途中、真希ちゃんに会った。
「なんだよ。八雲無事じゃん。なんで無事なくせに辛気臭い顔してんだ。」
相変わらずの男前な態度で真希ちゃんに話しかけられるとつい弱音を吐いてしまった。
「呪具壊したのかんちゃんにバレちゃったからさ…。怒られるの怖いんだよね。へへっ」
真希ちゃんは大きくため息を着くと、私の頭を撫でた。、
「お前が呪具壊すのなんかいつもの事だろ。びくびくする必要なんかねぇよ。」
うわぁ……男前。死ぬ…。真希ちゃんの限界オタクでもあるなぁ私。
「ありがと。真希ちゃん。」
そこで真希ちゃんと別れ、3人が待つ部屋に向かった。
「おかえりー。どうだった?」
へとへとになって帰ってきた私を見て真衣ちゃんが言った。
「ちょっと怒られちゃった。」
「ふーん。まぁ、その程度で済んで良かったんじゃない?外出禁止とかなったら八雲が言ってたクレープ食べに行けなくなっちゃうし。」
この双子はほんとに好きすぎる。こういう細かい事も覚えててくれるのがほんとに好き。
「真衣ちゃん…。」
「な、なによ。」
「大好き〜!!」
窓の外を眺めていた真衣ちゃんに飛びついた。
「八雲ってほんとに精神年齢低いよね。」
なんだかんだ言いつつも私の頭を撫でながら真衣ちゃんが言った。
「なんで?」
「保育園児の相手してるみたい。」
「え?!酷い!」
小学生とか中学生かと思ったら、まさかの保育園児…。悲しすぎるわ。
「神無さんのせいじゃない?過保護だし。」
霞ちゃんがそう言うと、真衣ちゃんも桃ちゃんも納得した様子だった。
確かにかんちゃんはお母さんみたいだ。お母さんとお父さんが死んでからは尚更過保護になった気がする。
「てかまず、男兄弟に向かってかんちゃんなんてあだ名つけないでしょ。」
んー、でもかんちゃんはかんちゃんだし。今更、お兄ちゃんなんて呼べないよねー。
「ていうか、いい加減離れなさいよ!」
真衣ちゃんが私を剥がそうと押した。私は離れたくないので、ぎゅっと強く抱きついた。