第16章 土方 居場所
「何?」
「戻ってこい。」
その真っ直ぐ突きつけられた言葉に
揺らぎそうになる心を
乾いた笑いで
飲み込んだ。
「ミツバさんは何も変わってないよね。
死んでも綺麗な空気を纏って、
土方さんの心を
離さない。
総ちゃんもミツバさんのこと
まだ大好きでしょ?」
何を言っても無駄なのは
わかってる。
この人には
昔から
私の感情は筒抜けだった。
もちろん今もそれは
変わらなくて、
私の発言一つ一つに
反応するかのように、
腕を掴む手に力が込められた。
彼には伝わっている。
この雄弁に溢れる言葉の
下の下にある
私の本心。
「ミツバさんが生きているこの街で
ヘラヘラ笑っていられる程
惨めにはなれない。」