第15章 銀八 水分補給
「じゃあ全員お巡りさんに
補導されない程度に遊べー。
補導されたら
先生の迷惑になるから。
ってことで、はい、解散。」
そんな気の抜けた
担任の声で、
私たちの夏休みは始まった。
普段の放課後とは
明らかに浮き足立っている教室を
チラッと確認して、
銀髪頭の先生は教室を後にする。
そんな姿を
つい目で追ってしまう。
「アキ、帰るぞ。
近藤さん達とファミレス寄るけど
お前もくるだろ?」
ドアの向こうに
飛んでいた意識を
トシに引き戻された。
「あ、行く行く!
でも後から行っていい?
先に行ってて!」
どうにか先程耳に入った言葉を
脳内に巡らせて返事をした。
「ちょっと先生に用事があるの
思い出したから
行って来るね。」
トシの返事を待たず、
私は教室を後にした。