第11章 近藤・土方 願ってはみるけど叶うなって思ってる。
「近藤さん、あれでも本気でお前のこと心配してんだからな。」
「わかってますよーでも私も本気で近藤さん達と一緒にいたいって思ってるんですからねー?」
少し頬を膨らませながらそう言った。
「まぁそれもわかってるよ。
ところで、お前彼氏とは最近どうなんだ?」
「え?いつの話ですかそれ。とっくに別れましたよーだ。
今は絶賛フリータイム!」
「相変わらずフラフラしてんな。もっと自分大事にしろよ。」
根は真面目なくせに、どこか危なっかしい。
俺が世話を焼いてしまうのもそのせいだろう。
「ずーっと同じ空間にいられる人を探すのって難しいもんですね。」
少し遠くを見つめるその表情から、
やはり真面目に考えてるんだなと感じさせられた。
「まぁ、貰い手がなかったら俺が貰ってやる。」
その言葉に、アキの目が少し大きくなった。
何も言葉を発さないアキの顔を覗き込むと、心なしか顔が赤くなっていた。
「…やっぱ餓鬼だな。」
自分の口角が無意識に上がるのがわかる。
「え、は?!無理に決まってんじゃん!何その勝ち誇った顔!むかつく!!!」
脇腹に当てるだけの拳が飛んできた。
そして少し足早になるその後ろ姿を見て、
やっぱこいつを余所もんにやるわけにはいかねぇなぁ、と、近藤さんと同じようなことを考えてしまった。
さっさと俺のもんにしねぇとなぁなんていう焦りも少し感じた。
まぁ、まだ今は馴染みの家族として傍にいよう。