第11章 近藤・土方 願ってはみるけど叶うなって思ってる。
「トシ…相談があるんだが。」
夕食を食べ終わり、自室に戻ろうとすると、
近藤さんにそう声をかけられた。
あまりにも真剣な面持ちであったため、
すぐに話を聞こうとしたが、
急ぎではないから後でいいと言われた。
そして今。
あと数時間で日付が変わる頃。
俺の目の前には、人を呼び出しておいて、
うーんと唸っているゴリ…近藤さんがいる。かれこれ5分。
「ったく、それで相談ってのはなんだよ近藤さん。」
「…いやな、トシ。俺は考えたんだが…
…アキと結婚しないか?」
「結婚なぁ。まぁそろそろ籍入れとかねぇとなって思ってたしな。
まぁ明日にでもアキ連れて役所行ってくるわ。」
「…え。
………うそぉぉぉぉぉ?!ホントに?!?!
お父さん聞いてないよ!?!?2人が付き合ってるとか聞いてないよ?!?!」
「そりゃそうだろうな。付き合ってねぇから。」
溜め息が煙草の煙と混ざって宙を漂った。
近藤さんはその言葉を聞いて何故か胸を撫で下ろしていた。意味がわからねぇ。
何がしたいんだ。
「で?なんでそんな流れになったんだよ。」
もう終わったものと見なして、
この場を立ち去ってやろうかとも思った。
しかし、いくら鬼の副長と呼ばれていようとも、
本気で悩んでいる近藤さんを放置しておくことはできなかった。
「いやな、アキもそろそろ結婚適齢期だろ?
男はいくつでも結婚できないことはないが、女の子はそれなりの時期を考えた方がいいと思うんだ。
俺はアキがまだちんちくりんな餓鬼の時から見てるし、
娘のように思っているから、変な男は絶対に近付けんとさせてきた。
しかしそれが仇になっている気がしてな…
アキの幸せを俺が妨害してるんじゃないかと…」
今ミュート機能をONにしたら、
とても真剣な話をしているように見えるだろう。
現実は全く異なるが。