第4章 万斉 乙女心
「万斉さん…本当にダメなときはダメって言ってくださいね。
私のこと嫌になったら嫌って言ってくださいね。」
そう言うと、彼は私から身体を離し、顔を確認してバカにしたように鼻だけで笑った。
「何を言ってるでござるか。
こんなにくるくると音が変わるアキを手放すわけないでござろう?
拙者は楽しくてたまらない。」
私の情緒不安定が治まらないのは
この人のせいだ。
この人が受け入れてくれるから
こんなめんどくさい感情を投げつけてしまう。
そんなことを考えながら
再びボスッと彼の胸に顔を埋める。
彼の胸が心地よくて、
なんだか体勢もしっくりきてて落ち着いていると、
顔をグイッと上に向けられた。
そして突然触れるだけのキスをされた。
「ほら、また音が変わったでござる」
「…っ!」
私は何も言えなかった。
彼には全部お見通し。
彼が全部楽しんでくれるというなら、
私はこの情緒不安定な乙女心をいくらいでもあなたにぶつけよう。