第2章 土方 甘い甘い水分補給
キスというより、
私の唇を味わっているかのような口づけだった。
土方さんの舌は、口内に侵入するではなく、
私の唇をただただ舐めていた。
それもそれでもどかしく、中途半端な気分になる。
「よし、行くか。」
「は?!?!?え?!?!」
土方さんは満足気に壁から手を離し、また通りへ向かおうとした。
「ちょ、ちょ、ちょ、待ってくださいよ!え?!何?!今の何?!」
「何だ?もっとしてほしいのか?」
「なっ!違います!いや、何ですか!今の!」
「あ?アキがカ○ピス飲んでたからだろうが。」
いやいや、意味が全くわかりません。
「俺も少し甘いのが欲しくなった。」
「それなら言ってくれればこれあげましたよ!!」
まだ少し残っているカ○ピスを土方さんに突き付ける。
「いや、そこまで甘いのはいらねぇ。アキに残ってるのでちょうど良かった。」
「だ、だからって!!!」
顔が紅潮するのがわかった。
それに反して、土方さんの悪い口角のあがり方。
「でも、アキももっと欲しくなっただろ?」
「……っ!うるさいですっ!」
「まぁ、また帰ってからな」
「あーーもう!!」
そういってさっさと行ってしまった土方さんの背中を小走りで追いかけた。
残っているカ○ピスを見るだけで、また先ほどのことを思い出して恥ずかしくなる。
くっそ。ただでさえ暑いのに余計に熱い。
4月の日差しは油断ならない。