第17章 桂 頑張るのをやめる
何か疲れた。
八つ当たりする元気もない。
見えない心を
見ようとするのが
いけないのだろうけれど。
小太郎は膝の上にある私の頭を
優しく撫でてくれる。
その手の動きだけを
感じながら、
考えるということをやめてみる。
「大丈夫か?」
「うん。」
会話もこんなものばかり。
いつも彼の優しさに
甘えてばかりだという自覚はある。
普段、機嫌が悪いだけの時は
素直に八つ当たりをするので、
今回はそれすらもない様子から
いつも以上に
心配してくれているようだ。
こういうことはたまにある。
勝手に探って
勝手に被害妄想して
勝手に自己嫌悪。
小太郎に対しては
そんなことを
思ったこともないのに、
何故同性となると
こんなに不安になるのだろう。