【HUNTER × HUNTER】アナタの奥まで【R18】
第2章 私の名前
すると彼は驚いたのか肩をびくりと震わせてから耳元まで真っ赤にして「な、なんだよ……」と小さく呟いた
そのキルアの様子構わず彼の真っ赤な頬にちゅーっと口付けた。
するとキルアは一瞬身体を身震いさせ、その後直ぐに彼女の肩を掴み、強制的に引っ剥がした。
「いきなり何だよ」
「さあ?分からない」
当時4歳のキルアと7歳の私自身にも分からない行動であった。
キルアはなんだか幸福感を感じ、私は愛しさを感じた事は後に成長してから気づいた事だ。
ハグをする事で幸福感を得ると気づいたキルアは、愛してやまないアルカにもしてやったそうだ。
当時アルカの事について、そもそもキルア、イルミの家族構成、ゾルディック家についてもその他色々何も知らなかったので当然私は何一つ知らなかった。
世間知らずの私だが1回も外に出たことがない訳では無い。
私はイルミの人形であり駒あるためよく彼に仕事に使わされる。
初めて外に出て仕事をしたのは5歳の頃、ちょうどイルミによって1段階訓練が厳しくなった時であった。
イルミは私を腕試しとして自身の仕事へと赴かせた。
仕事の内容は対象を処理するという至ってシンプルなものであった。
初めて見る外の世界に好奇心いっぱいになったのを今でも覚えている。その仕事以降、外の世界に思い馳せるようになり、今では仕事がある日を楽しみにしている。
絶対に叶いもしない外の世界へいつか、自由に旅をすることを毎日夢見ている。
今日も今日とて全ての訓練が終わり、ご飯を食べ、シャワーを浴び、キルアと遊んで就寝するのであったが今日は違かった。
いつも通りメイドさんが持ってくる味気のない栄養満点の毒入りプレートを口に入れた時だった。
なんだかおかしい。そう感じた時には遅かった。
そのプレートを持ってきたメイドさんはもう既に姿はなく、部屋にはうずくまる私のみ。
上手く呼吸が出来ない。口から出るのは空気を必死に吸い込む音。胸が苦しい。次第に視界もぼやけていき、意識が無くなる直前であった。
もう1ヶ月程会いに来なかったはずの彼が、イルミがぼやけた視界の中にいた気がした。
「お前の致死量の5倍の毒を口に入れてもまだ意識あるんだ」
そう言って気分良さげに口角を上げたイルミが最後に見えた気がした。