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【KP】BL

第10章 【ヒミツの合図】






「あっ、海人は行ってきたら?出番も近いんやし」
「んーん、大丈夫!廉といるー!」
なんて、鼻歌を歌いながら
畳コーナーでストレッチを始める海人。


***


自分らの出番が終わったあと一人で楽屋に戻った俺は
さっき海人がストレッチしとった畳コーナーで
三角座りして顔を上げたり太ももに伏したりしながら
落ち着きなくモニターを眺める。


―――きてもうた。
いよいよ、海人たちの番や…。


なんやろ、この…変な緊張感。
早く観たいような、観たくないような、、


海人はいつも俺の作品観てくれるし、
ちゃんと観とらんとわからんような細かい
感想まで伝えてくれて…嬉しいなって思う。


もちろん、海人が頑張っとるところは
俺も観たいし、観てきたし、


今日だって…
観たいなって思って楽しみやったし、、


そんなこと考えとったら
歓声のなか、2人がステージに現れて―――


けど、待って…?
俺…聞いてへんよ。


初っ端ハグするんなんか…
聞いてない。


…もちろんな?ステージの雰囲気というか
その場のパッションでそうなるんも…わかる。
俺もステージに上がる身なんやから、わかる。


けど、最初のハグ…いや、あれはハグやないな。
熱い抱擁で心臓のこの辺、
ぎゅーーっとなってもうて、
息も、なんか…しにくいし、、


するならするで、せめて、
パフォーマンス後やったら
俺ももっと、
落ち着いて観れとったはずやのに、、とか。


恨み節のたらればを垂れ流したところで
ときは俺が落ち着くのを待ってくれるハズもなく
当たり前に、刻々と進んでいくわけで…。


もうすぐ海人のソロパートやから意を決して
“えいっ!”と閉じていたまぶたを開けると…


そこにはイキイキと楽しそうに踊っとる
誇らしすぎるメンバーであり、相棒であり
愛しい恋人の姿があって―――…。


「…さすがに、眩しすぎるやろ。。眩ピースって
ほんまに眩しいときはでてこんかったよって
後で海人に教えたろ…苦笑」


そんなことを楽屋で独り、呟きながら
ガランとした部屋に響く乾いた笑いが妙に空々しい。














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