第5章 【キミに追いつくまでの70日】
「結構移動時間バカならんやん?」
「あーね!」
普段から片付いてる人にとったら
別に人が来るってなったところで
片付けるための時間は必要なくて。
移動時間よりその時間の方が確実に長くなるオレは
さすが、廉だなぁ…なんて感心したりする。
「じゃあ、岸くんにそう伝えるね!
あ、廉の空いてる日っていつ?
いま、廉が断トツ忙しいと思うから
廉の都合のいい日教えて!」
***
そんなこんなで、今日は廉の家に集まる日。
3人はグループ仕事の後に来るみたいで、
オレはひと足お先に廉の家に。
「てか、今度のシングル超嬉しいんだけど!!」
「おん、めっちゃええ曲よな?どっちも。」
「うん、もちろんそれもそうなんだけど!
両A面が俺と廉の主題歌ってヤバくない?
またオレの夢、1個叶ったんだけど…!」
「確かに確かに。なにものは…海人で、
愛しは俺で1人ずつやったもんな?
両A面がメンバー全員の主題歌って
2人になったからできることの1つよなぁ?」
「マジでそれ…!
てか、ねぇ、、緊張するくない?笑」
「海人のその発言は逆に、
緊張してなくなーい?笑」
「ギャル廉だ笑 もうだって…いつぶり?」
「きっさんとはあのラジオぶりやけど
俺はあの2人とは521のvenueぶりよ。
あ、けど海人は…紫耀と会っとったよな?」
「あっ、うんえっと…そうだね。
カイタくんとダンス動画撮ったとき
観に来てくれて…。」
「…保護者やん苦笑」
「あははっ確かに…苦笑」
なんとなく、戸惑いの沈黙―――…。
〜♪〜
その沈黙を破ったのは
インターホンと同時に鳴ったメッセージの通知音。
画面には帽子を深く被った3人が
Mステの一言メッセージばりに
画面の取り合いをしとって。
「海人、見て?むっちゃバカ笑笑」
「あはは!変わらないね~笑」
メッセージを確認すると
“到着!!!廉、開けて?”
“はやく!”
“れんーー”
ってうるさいくらいに矢継ぎ早に届いてて。
エントランスを解錠して暫くすると
再度インターホンが鳴り、
たった1年前は…
手を伸ばしたら触れ合う距離におった3人を
海人と2人、玄関まで出迎える。