第5章 【キミに追いつくまでの70日】
「……やからな?
海人との仕事、マジ楽しみで。」
「廉がそんなこと言うなんてめずらしくない?笑
今日雪降んのかなーー笑」
「この時期の雪はそう珍しくないやん笑」
「それはそうだわ笑笑」
「やからさ…、おえかき、せんで?」
オレの袖を小さく摘みながら言ってくる廉が
嘘みたいに可愛くて、思わず「えっ…?」
って聞き返す。
だけど、耳まで真っ赤にしながら俯いてる廉が
さっき微かに聞こえた懇願は
聞き間違いじゃなかったことを証明していて。
愛おしさが溢れたオレは
廉を、ぎゅっと…抱きしめる。
「…ごめんね?オレ、配慮が足りなかったね。」
「……ほんまやで。」
「れーーん笑 そういうときは
そんなことないよって言うんじゃないの?大人は笑」
「…大人?そんなん知らんわ笑
けど、海人には思っとらんことは言わんよ?
俺たちの関係でそれは…淋しいやん。」
「ふふっちょっと廉くん、可愛くなーい?
それはそうだよね!うん!」
可愛い廉のおかげで今日もうきうきで
仕事を終わらせて。
廉との仕事が終わったあと、スマホを
確認すると岸くんからラインが届いてて。
“1/29〜4/2の間で都合がつく日に
誰かの家集合!”
っていうほぼほぼ決まってない予定が送られてきて
思わず、笑う。
「どうした?海人。」
「んっ?見てよコレ笑」
「きっさん?…なん?コレ笑」
「んー?前にさ、ラジオで5人集まろうよって
話してたじゃん?」
「あーしとったな!」
「最初、オレと岸くんで
お礼サプライズしようとしてて。
廉に秘密で連れて行こうとしてたんだけど
最近の廉、バカみたいに忙しいじゃん?」
「バカってww」
「だから無理だなってなった次のメールがコレ笑
マジ岸くんらしくて笑えるんだけど笑」
「マジで笑えるな笑
ほぼほぼ決まってないみたいなもんやからな笑」
……ん?あれ?ちょっと待って?
「したらさ、さっき俺が海人に通知
きとるよって言うたとき慌てとったのって…」
「うん、岸くんだよ?
まだあのときはサプライズ予定だったから
慌てちゃった笑」
なーーーんや、そうやったん笑
単純にも秒で機嫌が直った俺。
「あっ、海人?誰かん家って決まっとらんなら
俺ん家がええわ。」
「えっ、あ、そうなの?」