第5章 【キミに追いつくまでの70日】
〜♪〜
「海人ーー通知来とるよ?」
メイク台にスマホを置いたまんま
いつものように空き時間でお絵かきしとる海人に
声をかける。
「あっっ!ありがとうっ!!」
さっきまでテーブルにおったはずの海人が
秒でこっちまで来たか思たら
俺から奪ったスマホを胸元に隠して
「みっっ見た?!?」
なんて慌てるからさ
なに?ってなるやん…。
「や…見てへん、けど、、」
ほんでさ…そんな俺の言葉に、
あからさまにホッとするから
嫌でも気になるやん…
けど、海人はそんな俺には気付かんと
いそいそと返信しだして。
俺への返信は結構待たせるくせに、
なんなん…。
“海人ーー!どう??”
廉から受け取ったスマホを確認したら
案の定岸くんからのメッセージ。
“岸くんごめぇーん!
廉にバレずに連れてくの無理かも😣”
“えっガチ?!?!!”
“ガチガチ。撮影忙しいってのもあるんだろうけど
オレら最近前もって約束してご飯食べ行かないもん”
“どゆこと?海人と廉にしちゃ珍しいじゃん!!!
喧嘩でもした????笑笑笑笑”
“あっそういうんじゃなくて!最近のオレらはさ、
約束とかじゃなくて仕事終わりにこの後ご飯食べる?
って感じで行ってるから、
そもそも怪しまれずに約束すんのが難しめー”
“え?!ガチの仲良しじゃん!!!!”
“仲良し恥ずッ笑 んーーでもまぁ、そうかな。
それは置いといて、どーしよー…
ラジオで共演させてくれたサプライズの
お礼サプライズに協力するって言ったのに
役たたずじゃんね、オレ…”
“そういうことならサプライズは忘れて
集合優先で行きますか!!”
“……ごめんね?それしか無理かも。。”
“わかったわかった、また連絡するわ!”
やり取りに一区切りついたタイミングで
顔を上げると、廉と鏡越しに目が合うから
ニコッと微笑みながら「んっ?」って返すと
「何も。」なんて、無愛想な廉。
あーー…そういうモードね。承知!苦笑
素直な廉は機嫌を取り繕わないからわかりやすい。
こういうときの廉には当たらず障らずなんだよなぁ…
って何でもない風を装ってテーブルに戻っては
お絵かきを再開する。
「…なぁ、海人?」
「んー?」
「俺ら…、いまあんま時間とれんやん。」
「うん。」