第1章 【愛し生きること】
「んー……なんとなく。」
「ん、じゃあ問題ないわ。
それだけわかってくれとったらええから。」
廉がオレの頬に手を添えて
顔を近づけてくるから…
「ごめん、待って!!」
目をギュッと瞑って顔を背ける。
「今度はなに?笑」
「廉、岸くんとは…どうなの?」
「どうって……なにが?」
「だから……」
「…だから?」
「“そう”じゃ、ないの…?」
「きっさんとは違うやん笑
むしろそうやったら…逆に、
人前であんなイチャつけんくない?笑」
「ふぅーん。そういうもん?」
なんてまだ不満気にしてる海人に
「海人。「こういうときなのに、
喋り過ぎじゃない?」」
さっきの海人の言葉を借りて
不満を漏らすと…
俺の言葉に吹き出した海人に
覆い被さりながら
「もう、誰の名前も出さんとって。
いまは2人だけの世界がいい…。」
優しく、深いキスで
言葉を奪い、
ふわふわとした浮遊感に身を委ねては
2人…
快楽の海をあてもなく彷徨う―――…。
けど、なんやろ…。
俺が海人のこと抱くつもりで
ベッドに横たわる海人に
四つん這いで覆い被さったのに
何? この感覚―――…。
感じたことのない浮遊感に身を委ねとったら、
足に力が入らんくなって。
キスってこんな気持ちいもんやったっけ…。
そう思うくらい、
海人とのキスに溺れて―――…。
いよいよ自分のカラダを
支えられんくなった俺は
海人のカラダに呆気なく崩れ落ちる…。