第3章 【交錯する想い】
「紫耀と踊んの、やっぱトクベツだわ…!」
「わかる!!海人とのしっくり感ヤバいよね…」
「…オレねぇ、踊ってるとき紫耀と『楽しいね』
って感じで目が合うの、好きなんだぁ。」
ふふって優しく微笑む海人と目が合うから
こみ上げてくるものがある、。
「うん、俺も。お前は…最高の弟だったよ。
でも、もう、、海人は弟なんかじゃなくて。
お前が選んだ人生を、自分だけの足で
しっかり歩いてるんだよな…」
そんな紫耀の言葉に
「オレのヒーローは紫耀だよ。
今までも、これからも、ずっと。」
オレの素直な気持ちを返す。
あのとき…
「海人はどうする?」
って俺の言葉に、
お前は着いてくるって思ってた。
何の疑問も持たず、
そう、思ってた―――…。
だけど、お前が選んだのはキンプリの名前を残して
廉とティアラと…
『キミと幸せに』を願う人生で…。
確かに、2人やファンのみんなには急だったと思うし
酷なことしちゃったよな、と思う。
だから、廉の「せめてあと2、3年一緒にやれん?」
って言葉も理解はできる。
だけど、俺には…自分の膝が
いつまで使い物になるかわからない焦りもあって。
「海外とか、この事務所じゃやりたいことができん
って紫耀たちは言うけど…
俺はっ…俺はまだ見ぬファンより、
いま、応援してくれとるファンを大切にしたい。
そのコら置いて、海外なんか行きたないのよ。
でも、別にそれは…
海外に行かんってことやないよ?
これまでと同じように個人仕事も頑張りながら
ファンの裾野を広げていって、
その結果、ファンの輪が海外まで広がったなら
そういう未来があってもいい…とは思う。
けど、海外ありきでは俺は考えられん。
それは俺には…できん。」
仕方ないよな…。
「できない」って言われたら。
ジュニアの頃から10年以上廉と一緒にいたから
わかるんだ。
あと2、3年キンプリとして活動を続けたとしても
きっと、廉の考えが変わることはないなって。
じゃあ、その2、3年後に何が残る…?
俺に残るのは今より確実に疲れ果てた膝だけだ。
そんな俺にとっての2、3年は
あまりにも大きすぎて。
どうしても廉の最後の願いを
受け入れることはできなくて…。