第3章 【交錯する想い】
「上手くいってんだ。廉と…。」
「うん!」
嬉しそうにそう微笑む海人に
俺も笑って返したけど…。
なんだろ。
2人が上手くいってて嬉しいハズなのに
少しだけ、淋しくて…。
「あ…、ichiban観たよ? すごいよかった、。」
「ふふっありがとう!
紫耀に言われると更に嬉しいわ!」
「海人はもちろん安定に上手かったけど、
廉、すっごい頑張ったよな?」
「…ん、ありがとう。自慢のバディだからね!
伝えとくよ!」
「それは遠慮しとくわ笑
さすがにハズすぎるって笑笑」
「もーー、紫耀はほんっと
廉のことになると素直じゃないよね?
なんなの、中学生男子なの?笑」
「そんなんじゃねーし!笑」
「…」「…」
「海人…、やっぱ俺さ、俺、、」
「……紫耀? それは言わない約束でしょ。
オレから廉の手を離すことは絶対にないから。
廉のこともキンプリのことも
軽い気持ちで考えてないから。」
俺の目を真っ直ぐに見据えて
強い言葉を放つ海人は
俺が今までに見たことのない海人で…。
「…ごめん。」
「オレたちも、紫耀たちも…
これからなにものにだってなれるよ。
これからどんな自分たちになりたいのか
それを選ぶのはオレたち自身だし、
紫耀たち自身じゃん!
オレも廉も、紫耀たちの活動
楽しみにしてるし、応援してるから…ね?」
「……ん。」
ベソばっかかいてたと思ってたのに、
いつのまにか随分と
頼もしく感じられるようになった海人…。
「もう…、紫耀〜!
そんな顔しないでって!苦笑」
「や、ちがっ…ほんと、ごめん。。」
お互いに言葉を探しても、見つからなくて。
そんな状況に耐えかねて沈黙を破ったのはオレ。
「紫耀、踊らない?」
「…え?」
「踊ろうよ! 一緒に。
世には出せないけどさ、。」
言葉にはできないけど、
伝えたい想いがある。
だけど、いくら想いがあったとしても
伝えちゃいけない言葉もあって…。
その想いをぶつけながら踊った
紫耀とのダンスは
アツくて、切なくて…
情熱的なのに、
どこか、クールで。
あぁ、あれだ。
冷静と情熱のあいだ。
冷静と情熱の狭間で
オレたちは揺れていたんだ…。